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相続税に時効はある?無申告へのペナルティも

相続税は、申告者自身が相続税の金額を計算し、その金額に基づいて納付する「申告納税制度」を採用しているため、場合によっては申告・納付をせずに10ヶ月の期限が到来する場合もあります。
そもそも相続財産の金額が基礎控除額を下回り相続税の申告・納付が必要ない場合は問題ありませんが、本来申告・納付が必要なのに申告をしていない「無申告」状態にある場合もあります。
相続税の無申告には、「無申告加算税」というペナルティが課せられますが、時効はあるのでしょうか?無申告加算のペナルティを併せて解説いたします。

相続税無申告の時効は一律ではない?

相続税の無申告は意図せず無申告になってしまった「善意」によるものなのか、脱税意図をもって申告しなかった「悪意」によるのかによって、時効の期限は異なります。善意か悪意の判断は、申告・納税した金額、申告漏れの金額の大小など、相続人の認識や状況によって異なります。

【善意とみなされる例:時効5年】

例えば、相続財産の総額は1億円のみという認識で相続税申告をしたが、のちに500万円程度の財産が存在することが分かったケース。この場合、500万円相当の財産の申告漏れについては「善意」とみなされる可能性が高くなります。

【悪意とみなされる例:時効7年】

例えば、相続財産の総額が5億円以上あることが明らかであるにもかかわらず、7,000万円として相続税申告したケース。この場合、4億3,000万円分の財産を隠ぺいする意図があったとして「悪意」と見なされる可能性が高いでしょう。

市区町村役場は、死亡届を受理すると税務署にその旨を通知します。通知を受けた税務署は、被相続人が暮らしていた市町村区内の被相続人名義の不動産について調査することができます。
また、脱税対策として、税務署は被相続人の所得や過去の譲渡履歴などのデータも把握しているため、時効によって相続税の申告および納付が免除されることはまずありません。

相続税無申告へのペナルティ

善意、悪意に関わらず、相続税の期限内に申告を行わなかった場合は、本税に加えて「無申告加算税」がかかることになります。無申告加算税は、本来納める税額に対しその状況に応じた税率を乗じて算出されます。
相続税の申告・納付の期限が過ぎたのち

  • 税務調査前に自主的に申告した場合は、5%
  • 税務調査後に申告した場合は、納税額の50万円までは15%、50万円の超過部分に対しては20%

なお、悪質であると判断された場合は、特に重い40%の重加算税が課せられます。

期限の翌日から課せられるペナルティ

未納付分の利子にあたる延滞税

相続税の期限の翌日から、納付完了日までの期間に応じて延滞税が課せられます。令和3年1月1日以後の延滞税の割合は、期限の翌日から2か月が経過するまでに納付した場合は、年7.3%あるいは延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い割合が適用されます。具体的な割合は、次のとおりとなります。

  • 令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間は、年2.4パーセント
  • 令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年2.5パーセント

なお、2か月経過後は、年14.6%と特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合となります。

無申告へのペナルティ:無申告加算税

正当な理由なく、相続税の申告を期限までに行わなかったことについて、無申告加算税が課せられます。 無申告加算税の金額は、税務調査の事前通知前に申告した場合は本来の納税額の5%にあたる金額となりますが、税務調査の事前通知後に申告した場合には、本来の納税額の50万円以下の部分と、50万円超の部分に分けて計算をします。

  • 50万円以下の部分:事前通知後、税務調査前に申告すれば10%、税務調査後は15%
  • 50万円超の部分 :事前通知後、税務調査前に申告すれば15%、税務調査後は20%

無申告加算税は、税務調査の事前通知前、税務調査前、税務調査後のどのタイミングで申告・納付をしたのかによって、課せられるペナルティの金額も異なります。ご自身が無申告であることに気がついたら、すぐに申告を済ませなければ、かえって重たいペナルティを課せられてしまいます。

悪質な無申告へのペナルティ:重加算税

「財産を意図的に隠ぺいした」など、悪質な意図をもって申告をしなかったと認められる場合、先程の無申告加算税に代わるペナルティとして重加算税が課されます。

悪質であったかどうかについては、様々な調査を通じて判断されますが、悪質性が認められた場合、その無申告について、本来の納税額の40%にあたる金額がペナルティとして課せられます。
重加算税が課せられた場合、配偶者控除の特例(配偶者等の税額軽減)を受けることができません。本来1億6,000万円ほどの金額が控除される特例が使えなくなってしまうということは、重加算税による部分だけでなく、本来配偶者控除の特例が適用できる場合よりも大きな負担になります。

このように、相続税申告期限が到来しても少なくとも5年間は納税義務がつきまとうほか、この期間に無申告が判明すると、本来納めるべきだった税金以上の金額が課せられることになります。繰り返しになりますが、税務署は職権で様々な調査を行うことができますので、無申告は必ず判明すると言っても過言ではありません。

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