相続税の配偶者控除

一家の主を亡くし、これからどうやって生活していけばいいのかと途方に暮れるご家族が多いことを受け、亡くなった方の配偶者の生活を守る、配偶者の税額軽減（配偶者控除）という制度が相続税には設けられています。こちらでは、配偶者控除についてご説明します。

配偶者控除は、配偶者が相続した財産のうち、下記のいずれか大きい額までは非課税とされる制度です。

• 1億6千万円
• 法定相続分相当額

ただし、この配偶者控除の利用に際しては、以下の条件を満たさなければなりません。

配偶者控除適用の条件

• 戸籍上の配偶者であること
• 相続税の申告期限内に遺産分割が完了していること
• 制度を利用したことで相続税額が０円となった場合でも相続税申告を行うこと

配偶者控除の計算方法について

配偶者控除を利用する際の納税額の計算は以下の通りです。

このように、相続税の計算はとても複雑なうえに、各相続人の財産の取得内容によって納税額の総額が異なってくるため、慎重に進める必要があります。
事例ごとの計算方法は、下記ページでご紹介します。

適用条件でご説明したように、遺産分割協議が終了し、それぞれが取得する財産額が確定していなければ、原則配偶者控除を利用することはできません。

ただし、どうしても遺産分割がまとまらない事由がある場合は、ひとまず配偶者控除を適用せずに法定相続分で申告します。その後、遺産分割が確定したら更正の請求又は修正申告を行うことで、配偶者控除の利用が可能となります。

このように、うまく利用すればとてもメリットの大きい配偶者控除ですが、デメリットも存在します。制度の利用に際しては、控除できるからと安易に決めるのではなく、次の相続（二次相続）も見据えた判断を行わなければなりません。

配偶者控除の利用は、配偶者にとってはとても有益となりますが、最初の相続の際に配偶者が多くの相続財産を引き継ぎ、ほどなくしてその方が亡くなった場合、お子様がそれらの財産を引き継ぐことになりますが、配偶者控除の特例が使えないお子様の相続税の負担額はとても大きなものになってしまいます。二次相続の際にお子様が負担することになる相続税の負担も考慮した判断が不可欠です。

配偶者控除の特例は、相続税の負担を大幅に減らすことができる反面、次にその財産を取得する子の負担が大きくなる等、必ずしもメリットだけではありません。誰がどの財産を取得し、どのような特例を利用するのかは、目の前の相続だけでなく、その先のことも考えながら判断しなければいけません。

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