相続時精算課税制度とは、贈与税に関連する制度の一つで、原則60歳以上の父母または祖父母などからの18歳以上の子または孫などに対する贈与について、2,500万円までの特別控除枠を設けた制度です。
この相続時精算課税制度には、2024年1月から毎年110万円までの非課税枠が追加され、生前対策としての生前贈与の有効性を高める制度となりました。
相続時精算課税制度を選択する場合、「2,500万円+110万円×贈与年数」の総額を超えない範囲の贈与であれば、贈与税が課されません。一方、「2,500万円+110万円×贈与年数」を超える贈与があった場合、その超過分については贈与税が課せられますが、その分は相続税額から控除することができます。また、どちらの場合でも、「(毎年の贈与額-110万円)×贈与年数」を超える贈与金額については、相続財産に加算して相続税を計算する必要があります。
相続時精算課税制度は一度選択すると、適用年以降の贈与全てに適用されます。こちらでは故人が相続時精算課税制度を選択していた場合の贈与税・相続税の計算について確認していきましょう。
贈与と相続のタイミングでの算出方法
ケース①:親から未成年でない子に5年間、毎年400万円の贈与があった場合
親から子に計2,000万円が贈与されたこのケースの場合、親が相続時精算課税制度を選択していれば、(400万-110万)×5年=1,450万円が特別控除枠2,500万円の範囲内に収まるため、贈与税は課せられません。
他方、親が亡くなり、唯一の相続人である子が5,000万円の財産を取得したとすると、相続税は、この5,000万円に贈与分1,450万円を加算した6,450万円を課税対象として計算することになります。
ケース②:親から未成年でない子に5年間、毎年800万円の贈与があった場合
親から子に計4,000万円が贈与されたこのケースの場合、親が相続時精算課税制度を選択していれば、(800万-110万)×5年=3,450万円のうち、特別控除枠2,500万円を差し引いた950万円に贈与税が課せられます。
他方、親が亡くなり、唯一の相続人である子が5,000万円の財産を取得したとすると、相続税は、この5,000万円に贈与分3,450万円を加算した8,450万円を課税対象として計算することになります。なお、贈与時に納付した950万円分の贈与についての贈与税額は相続税額から控除することができます。
相続時精算課税制度を選択は慎重に
相続時精算課税制度を選択する場合、贈与を受け取った翌年の2月1日から3月15日までに贈与税申告書に「相続時精算課税選択届出書」を添付して、所轄の税務署に届出る必要があります。この制度は一度適用すると変更が不可能であり、将来的に相続税を支払う可能性がある方にとっての利点は小さいため、慎重に判断する必要があります。
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